ロシアの作家。19世紀後半のロシアを代表する文豪。1821年モスクワで外科医の子として生まれる。1843年ペテルブルクの工兵学校を卒業して将校となったが、すぐに辞職して作家を志した。 1845年『貧しき人々』で文壇に登場し、絶賛を浴びる。その後空想的社会主義を研究するサークルの一員となったため、1849年ペトラシャフスキー事件で官憲に逮捕され、死刑判決を受ける。刑の執行直前に皇帝の特赦が与えられて間一髪死を免れ、シベリアに流刑となった。オムスクやトボリスクなどで監獄生活を送り、さらに6年間の兵役ののち1858年ペテルブルクに戻った。獄中体験により無神論からロシア正教へと思想的変化があったといわれる。そして『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』などを発表、最後の『カラマーゾフの兄弟』に至り、世界的な名声と富とを得た。